(金 興光:NK知識人連帯代表、脱北者)
韓国統一部から得た情報よると、今年9月までに大韓民国に入国した脱北者の数は49人だという。1年間に、脱北者が3000人近く入国していたピーク時の数字と比較すると、あまりにも少ない。2020念1月23日以降、北朝鮮が新型コロナの防疫を理由に国境を完全封鎖し、夜間の外出禁止を含め、住民の移動を厳しく制限した結果である。
49人という2021年の入国者も、その大部分は長い間、中国に隠れて住んでいた人、あるいは中国の人と結婚し、家族を築いていた脱北者だ。
それでは、コロナが落ち着けば、脱北者は再び増加するのだろうか。大げさに言うわけではないが、これからの脱北は不可能だと思う。金正恩総書記が「脱北者ゼロ」を目標に、今回のコロナ非常防疫戒厳期間に、中朝国境を流れる豆満江と鴨緑江の全域に鉄条網とコンクリート壁を設置したからだ。
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これ以上、北朝鮮住民が脱北して韓国に来ることが不可能ならば、韓国政府による脱北者の入国及び定着支援政策も、変化を余儀なくされるかもしれない。
今回は、最近の脱北者入国の現況と今後の展望、それに伴う政府の政策変化の必要性について述べようと思う。