11月第3日曜は『世界道路交通被害者の日』

 こうした状況を重く見た国際連合は、世界的な道路安全の向上をめざすべく、2005年10月の総会において、「国際社会は毎年11月の第3日曜日を、世界道路交通被害者の日(World Day of Remembrance for Road Traffic Victims)として認識するよう要請する」との決議を行いました。

 そして、世界各国で同じ日に、「世界道路交通被害者の日(World Day)」として交通事故による死傷者を想い、被害ゼロのための行動を決意する日として、さまざまな取り組みが行われるようになったのです。

 実は、「World Day」のそもそもの発端は、家族を交通事件で失ったイギリスの母親らが中心となって1993年に立ち上げた「ロードピース」というNGOでした。その活動はヨーロッパを中心に支持を広げ、「国際道路交通安全協会」、「欧州道路交通被害者連盟」など、複数のNGOによって、世界各地で開催されるようになりました。

 そして、2003年9月、WHOが各組織を集めて懇談会を主催したことをきっかけに、交通安全を呼びかける機関の非公式なネットワークが誕生し、上記のとおり、2005年の国連総会の議決へとつながっていったのです。

 こうした経緯を見ていくと、やはり、交通事故で大切な家族を亡くした遺族の思いの強さと、事故撲滅への信念を痛感します。

 国連は2005年の決議で、「交通事故被害軽減のための重点的な取り組み課題」として、

●シートベルトやチャイルドシートの着用
●ヘルメットの着用
●飲酒運転の防止
●過剰な速度違反の防止
●道路インフラの整備

 等の項目を挙げ、発展途上国については資金や技術面での国際支援を行うことも表明しています。

 あれから16年が経過した今、シートベルトやチャイルドシートの着用はかなり普及し、多くの人の命を守ってきました。しかし、日本では未だに、「飲酒運転」や「過剰な速度違反」による死亡事故が後を絶たず、今後の課題は山のように残されていると言えるでしょう。

(参考)WHO |道路交通の犠牲者のための世界の追悼の日
https://www.who.int/roadsafety/projects/world_day/en/