(英エコノミスト誌 2021年10月30日号)

地球温暖化を放置したら最も深刻な影響を受けるのがアジアの国々や太平洋の島々だ(写真はタヒチ)

変化を強く促す最良の場は、やはりこのようにグローバルな会議だ。

「雨は毎日降るものだ」

 シェークスピアの喜劇「十二夜」の最後の場面で、道化のフェステは観客にそう語りかける。そして、COPは毎年開かれる。

 国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の締約国が1995年以降に締約国会議(COP)を開催しなかったのはたったの1度、パンデミックに見舞われた2020年だけだ。

 こうしたCOPは行動計画(バリ島、2007年)や、マンデート(ベルリン、1995年)、議定書(京都、1997年)、プラットフォーム(ダーバン、2011年)、とげとげしいやりとりの末の決裂(コペンハーゲン、2009年)、そして協定(パリ、2015年)を生み出すことがある。

 だが、これこそ世界に残された最後のチャンスだと度々喧伝されているのに、大気中の温室効果ガスの濃度は上昇し続け、それに伴う気候温暖化も継続している。

一定の成果を上げてきたCOP

 このため、英国のグラスゴーで10月31日に始まる26回目のCOP(COP26)に外交官や科学者、ロビイスト、活動家、アーティスト、メディア、政治家、ビジネスピープルが集まってくるなか、会議全体を無意味なものとして片付けるのは容易だ。

 ただ、それでは過ちを犯すことになる。

 UNFCCCとそのCOPは、いかに欠点があろうとも、歴史的かつ極めて重要なプロセスにおいて重要な役目を担っている。

 化石燃料への依存によってもたらされている、人類繁栄の根源的な限界を取り除くプロセスがそれだ。

 COPが重要な理由の一つは、いくつかの会合では現に変化がもたらされていることだ。

 議決は全会一致が原則であり、これは最も乗り気でない国々のペースに合わせて議論が進められることを意味するものの、採択されたパリ協定はすべての締約国に、すなわち富める国にも貧しい国にも、19世紀半ば以降の地球の気温上昇幅を摂氏2度を十分に下回るレベルに抑えるよう約束させた。

 今年のグラスゴーの会議では、パリ協定での気温の目標達成に向けた各国の取り組み強化が新たに約束されるだろう。

 もっとも、その目標達成の公算が大きくなるほどの野心的な約束にはならない。