政権・与党はいつでも「ノージャパン」を再燃させられる

 自動車市場でも日本車が勢いを取り戻しているようだ。韓国輸入自動車協会(KIADA)によると、今年1-8月の日本車の販売台数は、レクサスが6828台、トヨタが4375台、ホンダが2532台となり、前年同期比で見るとそれぞれ35.2%、16.4%、38.9%という具合に急伸しているという。特にレクサスに関しては、今年の販売台数が1万台に復帰する可能性もあると見られている。このような日本車メーカーの反転攻勢について、韓国の専門家らは、不買運動が停滞していることや、半導体の需給異常などで韓国車が生産に支障を来たしていることが原因だと分析している。

 最初からノージャパン運動の影響を全く受けていない分野もある。韓国のユーザーが「代替商品がない」と嘆いたゲーム市場だ。ソニーコリアの売上高は2018年が1兆1199億ウォン、2019年が1兆4331億ウォン、2020年が1兆5331億ウォンと、「ノージャパン運動」の最中でも着実に拡大してきた。韓国に「あつまれ どうぶつの森」ブームをもたらした任天堂コリアの売上高も、2018年に1687億ウォン、2019年に2300億ウォン、2020年に至っては4000億ウォンと大きな成長を記録した。

 ただ、だからといってこのまま韓国の「ノージャパン運動」が消滅するかと言えば、答えは「ノー」だろう。というのも、文在寅政権になってから韓国社会の底辺に強い反日感情が植え付けられてしまっているからだ。「ノージャパン運動」が完全に終息するとは思えない。むしろ与党のシンクタンクはその報告書で「反日は選挙に役立つ」と述べていることからも分かるように、来年の大統領選挙に向けて、政権や与党が「反日不買運動」を扇動し、世論の支持を取り付けようとする動きが起きないとも限らない。

 上述したように、韓国の「ノージャパン運動」は、国民の自発的な運動というよりも、政治的主張を持つ一部のグループに先導された面が強い。その意味では、政府や与党によって、いつでも燃え上がらせることができるよう準備されているのである。