共に民主党の大統領選候補に決まった李在明・京畿道知事(写真:ロイター/アフロ)

(武藤 正敏:元在韓国特命全権大使)

 来年3月の韓国大統領選に、与党「共に民主党」の候補として出馬することが決まっている李在明(イ・ジェンミン)京畿道知事だが、いま「大統領候補辞退」にもつながりかねない危機に瀕している。

 李在明氏が京畿道の城南市長であった当時、市長の肝煎りで進められた大庄洞都市開発(以下“城南都市開発”)で、事業会社「城南の庭」に参加した一部の民間企業とその関係者が投資額の1000倍という異常な配当金を受け取っていることが判明しているが、その取引に李在明氏とその側近が関与していたという疑惑が日に日に高まっているのだ。

 これまでのところ、政権与党は李在明氏を庇っているおり、政権氏寄りの検察も捜査に手心を加えているようである。しかし立場が弱くなった権力者に対しては内部告発が激しくなるのが韓国政界の特質だ。

 現在は候補辞退まで話は及んでいないが、そうした可能性がチラつきだすと、内部告発が一気に加速する可能性がある。

 そういう意味でも、現在の事態は、李在明氏にとって不利な方向に推移していると見てよいだろう。

都市開発に関わった公社は超過利益が出ても追加配当を受け取らない契約

 李在明氏が関わっているとされる城南市の都市開発疑惑はいよいよ深まっている。

 疑惑の核心は、城南市の大庄洞地区の開発で、一部の民間事業者が不自然なほど巨額の利益を受けたという点、そしてそこに当時の市長だった李在明氏が関わっていたのではないかという点にある。