オウム真理教の教祖・麻原彰晃への死刑執行を報じる号外(2018年6月6日、写真:AP/アフロ)

 今回は、暴力団とオウムについてお話ししましょう。

 長年の読者ならご存じの通り、私は2018年7月をもって「オウム真理教」に関する一切の筆を折る「断筆宣言」を雑誌「AERA」上に記し、以後、関連の事柄を記すことがありませんでした。

 しかし最近、NHKのロングインタビューに応じ、いまや過去になったオウムについて話すことにしました。

 半年ほどプロデューサー、ディレクターたちから依頼が続き、初めは断りましたが、「いまコロナで、若者たちの状況は、オウム事件直前のロスジェネと似たことになっている。再発防止に役立つ番組が作りたい」という言葉から、受けることにしたものです。

 今回は、そのオウムについてだけではなく、暴力団とオウムを貫く「テロ組織」の側面に焦点を当てたいと思います。

衝撃的だった「工藤會総裁・死刑判決」

 9月16日、暴力団界隈に大きな衝撃が走りました。

 3つに分裂していた広域暴力団「山口組」のなかで「神戸山口組」から離脱状態にあった「五代目山健組」が、本家である「六代目山口組」に帰参、合流するとの発表が、双方の組織からあったのです。

 このコラムでは「神戸」だ「六代目」だ「山口」だ「山健」だといっても、込み入った暴力団組織の話で混乱するばかりですので、詳細は省きます。

 ただ「仁義なき戦い」と言われるように、血で血を洗う抗争に明け暮れることもあった「暴力団組織」が「大分裂」していたのに、その中核組織が本家に帰参・再統合されたというのは、小さくない話であるということが伝われば十分かと思います。

 この背景にあったと思われるのが、8月24日、警官や看護師など市民をターゲットにした殺傷事件で告訴されていた「特定危険指定暴力団」五代目工藤會の総裁・野村悟被告(74)と会長・田上不美夫被告(65)に対する福岡地裁で言い渡された「死刑」(野村被告)「無期懲役」(田上被告)の判決です。