6月11日、G7首脳会議に出席するため、英国ニューキー・コーンウォール空港に到着した文在寅大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 側聞するところによれば、菅義偉首相の官邸が、ある「外交案件」で頭を悩ませている。官邸のスタッフによれば、「M問題」と呼んでいるのだとか。

歓迎する状況にないが仏頂面で応対するわけにもいかず

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の来日問題である。今月23日の東京オリンピック開会式に合わせて、韓国側から、「文在寅大統領が訪日して、菅首相と首脳会談を行いたい」と要請が来た。この関係者がボヤいて言う。

「来てほしいバイデン米大統領からは『欠席』の返事が届き、招かざる『珍客』が来たいという。コロナ下のオリンピックなので、ただでさえ神経を遣うことは一杯ある。そこへ頭の痛い日韓首脳会談が入るというのだから、『歓迎します』という状況ではない。

 もしも菅総理が、文大統領とニコニコ握手したら、秋の総選挙で有権者の心象を悪くするかもしれない。野党にあらぬ追及をされるかもしれない。韓国に対しては、安倍晋三前首相や麻生太郎副総理兼財務相も一家言持っているので、対応が緩いと、秋の自民党総裁選で再選の支持をしてもらえなくなるかもしれない。

 そうかといって、ムスッとした顔で文大統領に会ったら、日韓関係に角が立つ。というよりオリンピック開催国の総理として面目が立たない。それでも、韓国が徴用工問題や慰安婦問題で、日本が望むような解決策を提示してくれればよいのだが、来年3月に大統領選を控えている中で、そのような展開になるとはとても思えない。

 正直言って、菅総理は『M問題』に唸っているよ」(同前)

7月14日、来日したIOCのバッハ会長(左)と会談した菅義偉首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)