テコンドーを練習する平壌の子供たち(写真:AP/アフロ)

(郭 文完:大韓フィルム映画製作社代表)

 知られざる社会主義・共産主義国家、北朝鮮。その裏側を描く「北朝鮮25時」。今回は北朝鮮の受験事情について。

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「孟母三遷の教え」は、孟子の母親が子供のために3度引越しをしたという故事成語で、子供が育つ環境の大切さを表している。

 そして、韓国には「Sky Castle」という言葉がある。天高くそびえる城を意味するSky Castleは、韓国社会の上流階級やソウル大学、高麗(コリョ)大学、延世(ヨンセ)大学といった上位圏大学を意味しており、韓国の母親は子供の教育のために最適な居住地を探し求める。Sky Castleは韓国における現代版の孟母三遷とも言える。

 それでは、我らが北朝鮮にSky Castleはあるのだろうか。もしあるなら一体どういうものなのか。

 北朝鮮で子を持つ親は、子供はいないと寂しいが、一人いれば大変で、半分がちょうど良いという。北朝鮮も韓国同様に少子化が進んでおり、子供は多くても二人で、大半が一人っ子である。北朝鮮の親はその一人の子にすべてをかける。

 北朝鮮の上位層は自分たちが持っているものを維持し、継承するために子供の教育に熱心だ。一方、継ぐものを持たない親は子の身分上昇を願ってすべてを投資する。