前回記事「日本や韓国からの送金で成り立つ北朝鮮・外貨循環経済の地下迷宮」では、北朝鮮の特権階級のみならず、一般の人々も円や韓国ウォンなどの外貨を活用している現状について書いた。「北朝鮮生活百科」の2回目は、国民がどのようにお金を管理しているのかについて述べる。
◎日本や韓国からの送金で成り立つ北朝鮮・外貨循環経済の地下迷宮(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65851)
◎「トイチ」「トサン」も、高利貸しに走る北朝鮮の最新財テク事情(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65891)
北朝鮮には内貨である北朝鮮ウォンだけを扱う朝鮮中央銀行と外貨だけを扱う朝鮮貿易銀行がある。外貨で給料をもらうことのない北朝鮮の人々が、外貨だけを扱う朝鮮貿易銀行を利用することは一生ない。
一方、内貨を扱う朝鮮中央銀行については、人民に貯金を義務づける人民班長(北朝鮮の最末端の行政組織で、一人の責任者が20~40世帯を担当する)の存在もあり利用するが、北朝鮮ウォンの価値はちり紙程度なので、朝鮮中央銀行に貯金しても、ただ貯金するだけでお金を引き出すという発想はない。
つまり、北朝鮮の人々は銀行を利用しておらず、銀行は自分とは関係ないところだと考える人がほとんどだ。そして、大多数の北朝鮮人は金利という言葉自体を知らない。
このように、一般の人々は金融についての知識がほとんどない。それでは、一体どこに金を保管しているのだろうか。