原辰徳監督(写真:AP/アフロ)

 巨人が猛虎を必死に追走している。23日の横浜DeNAベイスターズ戦(富山)で4―2と勝利し、4連勝。首位の阪神タイガースが敗れたため、その差を5ゲームに縮めた。

首位・阪神に追いつく可能性はまだ十分ある

 この試合では米球界から巨人へ電撃的にUターン復帰した山口俊投手が先発し、古巣のDeNAを相手に5回2/3を5安打1失点にまとめ、642日ぶりの国内白星をマークした。打っては丸佳浩外野手が2戦連発&1試合2発となる7号2ラン、8号ソロを放って大暴れ。6月18日に再登録されるまで不振で二軍調整を強いられていたのが、まるでウソのようだ。左太腿裏の違和感で戦列を離れていた梶谷隆幸外野手も22日の試合から一軍に戦列復帰を果たした。

 一方、コンディション不良で二軍調整中のエース・菅野智之投手は復帰が今月29日以降にずれ込む見込みとなっており、左背部の痛みのため一軍登録を抹消されたブルペンの要・中川皓太投手も長期離脱が懸念されている。投手陣にはまだ不安要素が漂うものの、それでも前出の3選手がチームに明るい材料を呼び込み、全体的に復調モードとなってきているのはG党にとっても心強いところだろう。

 4月上旬から阪神に首位独走を許しっぱなしの巨人は、このように紆余曲折のチーム状況に一喜一憂しながらも巻き返しのチャンスを虎視眈々と狙っている。原辰徳監督も胸中で当然ながら夏場以降、首位死守のプレッシャーに猛虎がさいなまれて失速することを視野に入れ、そこで一気に首位奪還を果たしラストスパートをかけて逆転Vへと漕ぎ着ける算段を目論んでいるのは明白だ。百戦錬磨の指揮官は、世間の風潮が超大物新人・佐藤輝明内野手の加入によって「阪神優勝モード」になっている中でも冷静沈着に初志貫徹の構えを貫き、巨人軍3連覇のシナリオ実現を信じて描き続けているはずである。