中国が死守、ミャンマー国内の権益

 中国はクーデター発生直後から「ミャンマーの内政問題」との姿勢をとり続け、国連の安保理による制裁決議などに関しても「ミャンマーへの一方的な圧力や制裁などの強制的措置は緊張と対立を激化させるだけだ」として反対の立場を貫くなど、軍政にとって心強い援護射撃をし続けている。

 その背後にある意図は、ミャンマー南部のチャオピューから北部ムセを経て中国雲南省瑞麗市に至る石油・天然ガスの輸送パイプラインや経済特区の保護と見られる。

 中東から中国本土へのエネルギー供給、運搬に際して、狭隘で水深も浅く遠路となるマラッカ海峡経由よりも、ミャンマー国内を貫くパイプラインを経由させたほうが効率的なのである。中国にとってその存在意義は大きく、中国がミャンマー軍政に求めているのもパイプラインに代表されるミャンマー国内の中国権益と中国人の保護とされている。

 ミャンマーは中国の「一帯一路」構想で重要な位置を占めているだけでなく「中国ミャンマー経済回廊(CMEC)」に基づく数々のプロジェクト、インフラ整備などでも深い関係にあるのだ。

ミャンマー問題の主導権は中国に

 ミャンマー問題で手詰まり感が漂うASEAN各国は、加盟国の外相を一堂に集めて会議を開催した中国にすっかり主導権を奪われ、ASEANのミャンマー問題関与はもはや独自の仲介策の模索から中国による支援頼みに移行しつつあるといえる。

 ミャンマー軍政に太いパイプと経済支援を背景にした「発言力」を維持している中国が今後のミャンマー問題にさらに積極的に関与してくることは確実だろう。

 当然のことながら、ミャンマー国内のNUGをはじめとする反軍政の組織や一般市民、活動家からは「中国は軍政の後ろ盾になっているのではないか」と中国批判が高まっている。

 ミャンマーの民主化回復の道筋は、さらに遠のき始めている。