5月23日、ミャンマー東部カヤー州では町中を軍兵士や警官がパトロールしていた(写真:AP/アフロ)

 軍によるクーデター以降、反軍政を訴える市民への軍兵士や警察官による過剰な暴力、実弾発砲による「虐殺」が続くミャンマー。特に中国やインド、バングラデシュとの国境付近の地域では、少数民族武装勢力や民間の武装組織と軍との衝突が激化している。

 反軍政運動を展開する一般市民に、かねてから軍と対峙してきた少数民族武装勢力が連帯して、周辺部で軍の拠点などへの攻撃をはじめているのだが、これに対し軍は空爆を含めた反撃に出ている。これにより各地で、戦闘の激化と戦禍を逃れようとする市民の難民化が続いている。

 こうした中、中国との国境地帯である北部カチン州やインド、バングラデシュと接する西部チン州では、5月に入ってから少数民族武装勢力と市民による防衛部隊による軍との衝突が続いているのだが、ミャンマー国内から軍の検閲をかいくぐって情報発信を続ける独立系メディアによると、この少数民族と武装市民連合が各地で軍を窮地に追い込んでいるという。

 このようにミャンマーでは軍と「少数民族武装勢力+民間武装勢力」との「内戦」がますます激しくなっている。

中国からのジェット燃料輸送の車列を襲撃

 ミャンマー北部カチン州で活動する「カチン独立軍(KIA)」は、カチン族の独立を求めて政府や軍に武力攻撃を続けてきた武装勢力である。そのカチン独立軍が、5月17日から18日にかけて、東部シャン州の北部で燃料輸送車(タンク車)を含む国軍の車列を待ち伏せ攻撃した。

 米政府系放送局「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」などによると、この襲撃で軍のトラックが一部炎上したという。驚いたのはその先だ。タンク車に積載されていたのは「航空燃料」と見られ、中国から国境を越えて運ばれた可能性が高い、と伝えたのだ。