臨時首脳会議では「暴力を即時停止して全関係者が最大限の自制を行う」「平和的解決策を模索するため関係者による建設的対話の開始」「ASEAN特使による対話の促進」「ASEAN特使のミャンマー訪問と全関係者との面談」「人道支援の提供」からなる5項目で合意がなされた。

 しかしその後ミャンマー軍政はこの5項目合意について「国家に安定が戻れば慎重に検討する」との立場を示し、早急かつ積極的に合意項目を履行する意思がないことを明らかにしている。

 積極的に関与して何とか事態打開の道筋を見出したいASEANは、再び動いた。6月4日に2021年のASEAN議長国であるブルネイのエルワン・ユソフ第2外相とリム・ジョクホイASEAN事務局長をミャンマーに派遣し、首都ネピドーでミン・アウン・フライン国軍司令官と会談したのだ。

 この会談ではASEAN側から5項目合意の履行を促し、同時にASEAN特使の受け入れを求めた。この席で具体的なASEAN特使の名前を軍政側に示したとされているが、具体名は明らかになっていない。

ミャンマー民主派“政府”、ASEAN特使との接触は実現せず

 軍政に対抗するためにスー・チー政権の幹部や最大与党「国民民主連盟(NLD)」の幹部、さらに少数民族代表などからなる「国家統一政府(NUG)」が結成されて、軍政との対決姿勢を明確にしているが、軍政はNUGを非合法組織と認定して壊滅を目指している。

 そもそもこのNUGは4月24日のASEAN臨時首脳会議への参加を希望していた。だが、ASEANはこれを認めなかった。さらに6月4日のASEANの議長国外相と事務局長のネピドー訪問に際してもNUGは直接会談を求めたが、当然のことながら軍政によってその実現を阻止された。

 結果的にASEANは事態打開のためとはいえ、軍政との会談、交渉に終始していることから、NUGや軍政反対を訴える市民などからは「ASEANは交渉相手を間違っている」「ASEANは軍政に政権掌握のお墨付きを与えているだけだ」などと失望と批判の声が上がっている。