そのため、習近平政権が早急に進めようとしているのが、「人口の長期均衡発展を促進させる優化生育政策に関する決定」というわけだ。その中身について、6月1日、国営新華社通信が、「国家衛生健康委員会の関係責任者への独占インタビュー」という記事を報じた。国家衛生健康委員会は、日本の厚生労働省にあたる中央官庁だ。非常に興味深い内容なので、以下、その要旨を訳出する。
「一人っ子政策は偉大な成果を生んだ」
――人口発展は中華民族の発展の大事業と関係してくるが、「一人っ子政策」の見直しは千家万戸に関係してくる。いまやわが国は「三人っ子政策」の実施を決定したが、主に何を考慮したものか?
「わが国では1970年代に『一人っ子政策』を始め、1982年に基本的な国策として憲法に明記した。党中央の堅強な指導と全社会の共同の努力のもと、『一人っ子政策』は世を驚かす偉大な成果を生んだ。人口の行き過ぎた増大は効果的にコントロールされ、人口構成は目に見えてよくなり、経済の加速的な発展と社会の進歩を促進した。
いまやわが国はまさに、人口大国からマンパワーを資本とした強国への重要な戦略的転機にある。国情に立脚し、規律に則り、一組の夫婦が3人の子女を生育する政策を実施し、この措置を支持していく。それによって人口の経済社会発展の効用を最大限に発揮し、戦略の主導権をしっかり把握し、少子化が持続するリスクに積極的に対応していく。人口問題を統合的に解決し、社会主義現代化強国の良好な人口環境の創造を、全面的に作り出していく。
最近の政策調整(注:2016年から「二人っ子政策」実施)によって、全国で累計1000万人を超える『二人目の子供』が生まれた」
――最近、わが国の人口政策は何度か調整されているが、どんな効果を生んだのか?
「(2020年秋の)第7回全国人口調査のデータを見ると、0歳~14歳の人口は、2010年の16.6%から17.95%に上がった。それは『二人っ子政策』の政策調整によって1000万人以上の『二人目の子供』が生まれたからだ。出生数に占める二人目の割合は、2013年の30%程度から最近は50%程度に上がっている。出生者の男女比は、2013年の113:100から、最近は111:100に下がっている。
出生数が下降する中で、国民の出産意欲が増すことが待たれている」