2019年1月31日、北京を訪問し習近平主席と握手するトーマス・バッハIOC会長(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 5月10日月曜日朝、中国に「59%の衝撃」が走った。この日の『読売新聞』朝刊が、「五輪『中止』59%」との見出しで、6割近い日本人が東京オリンピック・パラリンピックの中止を求めていることを報じたのだ。

東京五輪「支持」で一貫していた中国国営メディアでついに否定的報道

 同日、中国国営新華社通信は初めて、7月23日に開幕予定の東京大会に対して、否定的な記事を掲載した。全文は以下の通りだ。

<日本の『読売新聞』が示した最新の世論調査によれば、59%にも及ぶ日本国民が、東京オリンピックの中止を望んでいて、期間通りの開催を望んでいる国民は、わずか39%に過ぎない。

 この調査は5月7日から9日に行われた。この調査には再度の延期を問う質問事項は入っていない。大会を開催すべきだと答えた中で、23%の人は無観客で行うべきだという回答だった。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が6月に下す決定には、日本国内の観客の入場を認めるのか。

 日本のテレビ東京も先週末に同様の調査を行った。結果は、65%が中止か延期すべきというものだった。うち37%が中止を求め、再延期は28%だった。

 昨年3月に延期を決めて以来、日本国民のオリンピックに対する支持率は、一貫して低調だった。1カ月前、開幕まで100日の際に、共同通信が行った世論調査でも、70%以上の国民が中止か再延期すべきだと答えた。

 2013年1月7日、東京がIOC(国際オリンピック委員会)に開催の立候補を名乗り出た後、『読売新聞』が実施した世論調査では、83%の国民が開催を支持していた。

 全国のウイルス状況の悪化に伴い、日本政府は7日、東京都、大阪府、京都府、兵庫県の4都府県に出している緊急事態宣言を今月末まで延長し、同時に12日から、愛知県と福岡県も緊急事態の実施範囲にするとしている>

 以上である。一見すると、『読売新聞』の記事の内容を紹介しただけのようだが、中国の官製メディアはこれまで、東京オリンピック・パラリンピックに対するマイナスの報道を避けてきた。それどころか、ネット上に「東京オリンピック開幕までのカウントダウン」というコーナーまで作って、盛り上げてきたのだ。いまもそのページは健在で、「73日1時間16分19秒後」となって、毎秒毎秒を刻んでいる。