5月7日、3度目となる緊急事態宣言の「延長」を発表し、記者から質問を受ける菅義偉首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

「短期集中」で大型連休にあわせて発出されたはずの3度目の緊急事態宣言が延長された。

 そもそも、大型連休にあわせたのは、感染力が強いとされる変異株の拡散もあって、外出の機会を抑え込み、人流を止めることが目的だった。

変異株の感染拡大は水際対策の失敗が招いた結果

 では、その変異株はどこからやって来たのか。国内で感染拡大が認められるN501Yは、「英国株」と呼ばれた英国由来のもので、そこに加わったE484Kの「南アフリカ株」「ブラジル株」も、すべて海外から、島国の日本に入ってきている。明らかに、自国の水際対策、防疫が杜撰どころか機能せずに今日に至っている。

 それで飲食店での酒類の提供停止や大型商業施設の休業を要請の対象とした、より厳しい3度目の緊急事態宣言を、4月25日から5月11日まで、東京、大阪、京都、兵庫の4都府県を対象として発出したはずだ。

 つまり、国策の失敗を国民へ苦役を強いることで補おうとしている。

 しかも、短期集中に失敗。さらに福岡と愛知を加えて5月末までに延長。大型商業施設は時短営業要請、大規模イベントも無観客から定員規制に緩和されたものの、飲食店での酒類の提供停止に加えて、持ち込みも事実上制限して、さらに国民負担を強いる。