(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)
『釣りバカ日誌』という漫画がある。シリーズ映画化もされて大ヒットした。そのタイトルにもあるように、本当にそのことが大好きで熱中してしまう、肯定的な意味で「バカ」を使う例だ。一方で、熱中するあまり、社会的な常識や一般的な配慮に欠ける側面もあわせ持つ。同作ではそこが笑いを誘った。
東京オリンピックまで3カ月を切って、3回目の緊急事態宣言が発出されているいま、どうしても東京オリンピックを開催したい「五輪バカ」の暴走が目立ってきた。もはやその言動が失笑を買っていることにも気付いていなようだ。
「選手やコーチに毎日検査」で安全確保実現の腹積もり
東京オリンピック・パラリンピックに参加する選手などに、新型コロナの感染防止に必要なルールをまとめた「プレーブック」が更新されたのは、大型連休に入る前日の4月28日のことだった。国際オリンピック委員会(IOC)や東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会が作成したものだ。
それによると、日本への出国前96時間以内に2回の検査を行うことや、入国後は選手、コーチのほかに帯同する関係者も、原則として毎日、検査を受けることなどが明記されている。今年2月に公表されたものより、検査体制が強化されている。それで菅義偉首相が標榜する「安全安心な大会」を実現するつもりらしい。