小池百合子東京都知事(写真:ZUMA Press/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 新型コロナウイルスの猛威が続いている。各地で連日「過去最多」の感染者数が報告され、医療崩壊が現実のものとなっている。しかし、都民に向かって「stay home」を連呼する小池百合子都知事のように、政府や自治体の無為無策が続いている。

 外出自粛という要請は1年前から全く変わっておらず、この1年間積み重ねてきた知識や経験が全く活かされていない。「思いつき」としか考えられない禁酒令や午後8時以降の「灯火管制」などが加わったくらいで、この新政策もほとんど効果を持たないだろう。

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 緊急事態宣言の効果が出るのは、2週間後、つまり宣言が解除される5月11日以降になる。感染が十分に収まらないまま解除に踏み切れば、また感染が再拡大する。大阪の爆発的感染は、2回目の緊急事態宣言解除のタイミング・ミスを実証している。

 5月11日に解除というスケジュールも、トーマス・バッハIOC会長が来日する5月17日より前にという魂胆からであり、それは国民が既に見抜いている。

 4月28日には、IOC、IPC、東京都、国、組織委員会の5者によるオンライン会議が開かれたが、国民は冷ややかな目でこの会議を眺めたのではあるまいか。結局、観客数は6月に決めることになった。これまでも決定を延ばしに延ばしてきたが、それは全てがコロナ感染状況とワクチン接種の進行状態に左右されるからである。