今後、人々がジョブ型雇用で複数の企業で働く時代が来ると、どの会社にコミットして働くかの基準は、つくりたい未来を共有できるかどうかになる。したがって、企業はどんな社会をつくろうとしているのか、ミッションをちゃんと語っているかどうか、が重要になっていく。株式会社Public dots & Companyの伊藤大貴氏が働き方の変化を展望する。(JBpress)
※本記事はPublicLab(パブラボ)に掲載された「働き方をカスタマイズする時代へ~行政は企業の変化にアンテナを~」を再構成したものです
(伊藤大貴:株式会社Public dots & Company代表取締役)
この1年、あまりに多くのことが起こり過ぎました。新型コロナウイルス感染症のクラスター(感染者集団)が発生した豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス号」のテレビ報道がわずか1年ちょっと前。今振り返れば、この時はまだ、新型コロナウイルスへの危機感は弱かったように思います。
社会の空気が一変したのは、タレントの志村けんさんの急逝からだったでしょうか。誰もが知っている有名人が、わずか数日の間に容体が変化し帰らぬ人となった衝撃は大きかった。こうしたニュースがたった1年前の出来事であることが信じられないほどに、すっかり社会の風景は変わってしまいました。まさに社会変容であり、ニューノーマル(新常態)への移行です。
社会変容の代表的な例が「働き方」でしょう。この記事では、新型コロナが大きな影響を及ぼしつつある、これからの働き方について未来を展望します。
一つ確実に言えることは、コロナで新しい未来がやってきたということではなく、「もう少し先かも」と思っていた未来がコロナによって加速し、思いのほか早く私たちの目の前に現れたにすぎないということです。
電通の業務委託切り替えはリストラか?
働き方で大きな話題を呼んでいるのが電通です。同社は新しい働き方「ライフシフトプラットフォーム」を提唱し、2021年1月から全体の3%に当たる230人の社員を正社員から業務委託契約に切り替え、「個人事業主」として働いてもらう制度を始めました。
近年、電通の広告事業は陰りを見せ、新型コロナによる広告費減というダメージも手伝って、「コロナを言い訳にしたリストラではないか」と一部ネットでも騒がれましたが、実態はそうでもないようです。
この制度は数年前から同社の中で議論されてきた働き方で、電通はこの制度の希望者は100人程度と見込んでいましたが、ふたを開けたら200人を超える応募者があったといいます。