江戸時代から徳島の人々は熱狂的に阿波踊りを踊っていたという(写真AC)

(花園 祐:上海在住ジャーナリスト)

 四国・徳島県の阿波踊りといえば日本三大盆踊りに数えられるなど、全国的に有名な伝統芸能です。昨年(2020年)はコロナ流行の影響で中止となりましたが、毎年お盆に開かれる「徳島市阿波おどり」には国内外から多くの観光客が訪れ、名実ともに徳島県の顔になっているイベントと言うことができるでしょう。

 阿波踊りの歴史は江戸時代より始まるとされ、当時から徳島藩(現・徳島県)内では領民らが熱狂的に阿波踊りを踊っていたことが伝えられています。

 中には、踊るなと言われていたのに脱獄してまで踊ろうとした徳島藩の家老がいました。今回は、阿波踊りへの比類なき情熱でその名を歴史に残した、ある家老のエピソードを紹介したいと思います。

阿波踊りの起源、3つの説

 初めに、阿波踊りの歴史について簡単に説明しましょう。