文面はほとんど同じで、魚釣島を「和洋島」として、「日本帝国沖縄縣八重山郡尖閣列島内和洋島」と明記している。

 敗戦後、沖縄が米国の施政権下にある時、久場島が米軍の射爆場となった経緯も、戦前まで日本の主権下にあったからにほかならない。

主権行為としてやるべきこと

 安倍晋三前首相時代の習近平主席との首脳会談でも東シナ海を平和の海にするという合意などを行い、日本にはなんとしても平穏に解決したいという思いが強かった。

 しかし、昨2020年には、接続水域は言うに及ばず領海侵犯も頻繁で年間333日も周辺水域に滞在している。

 平和裏に解決という日本の思いは儚い一方的な夢でしかなかったようだ。もはや何もしないで無人島のままで傍観できる状況にはない。

 国際社会に向けて日本の施政権下にあることを明確にする必要がある。政府も公務員を常駐させるなど、かつては公言していたがいまだに実行されていない。

 公務員常駐の件で、4月初旬には自民党有志が勉強会を発足させてもいる。常駐以外にも船泊、ヘリポート、灯台、さらには放牧されたヤギなどの生息状況をはじめとした自然環境観測施設なども提案されている。

 山田吉彦・東海大学教授は米国が北西太平洋の離島を国の管理で「海洋保護区」に指定し、船舶の通過や観光、動物の捕獲を制限したように、尖閣諸島を「海洋保護区」として国際的な調査団などを入れるなど、世界の目で東シナ海の平和を監視する体制を提案している(「絶対に知っておきたい最新常識62」、『文藝春秋』2013年4月号所収)。

 西原正・平和安全保障研究所理事長はどこまでも「戦わずして勝つ」戦略から、中国の対日依存を高める品目を増やすことのほか、尖閣に簡易気象観測所を設けて尖閣地域を天気予報に含めること、日本領であった歴史的事実の更なる喧伝、同諸島防衛の日米協議体制の立ち上げなどを提案している(「尖閣は『戦わずして勝つ』で守れ」、「産経新聞」令和2年11月16日付「正論」)

 航空自衛隊出身で東洋学園大学客員教授の織田邦男氏は、1970年代以降使用していない米軍専用射爆撃場である久場島・大正島を使い、日米共同で射爆撃訓練を実施することも挙げている(『正論』令和3年3月号、「隊友」令和3年4月15日号)。

 利用できる地積がほとんどなかったために放置されてきた視点からは、環境保護との兼ね合いもあるが、まずは埋め立てによる地積の確保があってもいいのではないかと思量する。