驚きは学ぶ意欲の源泉

 成績や学歴といった格付けが始まった途端に、点数の高下に心悩まし、自分は誰かよりも劣っているのではないかという不安にさいなまれる。学ぶ楽しみは消し飛んでしまう。

 私は、学びにおいても「驚き」が大切だと考えている。

 息子がまだ赤ん坊のころ、蛇口から出てきた細い水の糸を握ろうとした。しかし握れない。何度やっても握れない。驚き、不思議そうな顔をして、何度もチャレンジしていた。

 またある時は、乱雑に線を描いているうちに、線の交差がローマ字のXに似ていることに気がついた。その不思議に驚いた息子は、ますます線を熱心に書きなぐり、JやZなどのローマ字を次々に発見した。

 学ぶ楽しみは「驚き」によるところが大きい。赤ん坊が初めて立ったとき、あるいは初めて言葉を発した時、親御さんは驚き、手を叩いて喜んだことだろう。その反応に子ども自身も驚き、そして面白がり、ますます自分の成長で親を驚かせようと企み、様々な挑戦を続ける。