「幸せになる力」ってなんだろう。親は子どもの幸せを願う。幸せになる力として、学歴や学力をつけさせようと躍起になる。学歴≒能力ととらえ、社会の側も能力を一定程度保証するものとして、学歴を高く評価している。他方、十代のうちに学ぶ意欲を持つに至らなかった若者は、学歴を獲得する機会を逃したまま大人になり、自ら落伍者の烙印を押しがちだ。実にもったいない。能力主義が人を格付けし、こうした歪みを生んでいる。仮に能力主義が正しいとすると、日本では東京大学で一番の成績をとった人間こそが一番能力が高く、一番幸せな人生を送れることになる。