幸せになる力とは、何だろう? 私は、学歴でも能力でもないな、と思うようになった。

 ないよりはあった方がよいかもしれない。しかし、自分の能力だけを高めることに躍起になれば、むしろ不幸を呼び込みかねない。能力を獲得するために頑張ったと思う人間は、自分の能力をついつい誇りがちだ。子どもの「ねえねえ、見て見て、すごいでしょ!」と同じ心理。しかしそれを大人がやってしまうと、「はいはい、すごいですね」と調子を合わせる周囲はゲンナリする。「残念な人」扱いされておしまい。

人の距離を縮める「驚き」効果

 幸せになる力は、どういうものだろう。初めて行った大阪の公園での出来事。嫁さんは見知らぬ子どもたちやお母さんたちとすぐに仲良くなっていた。私は目をパチクリ。一体嫁さんは、どんな魔法を使っているのだろう? 嫁さんを観察したところ、「驚く」ことが秘訣らしい、と気がついた。

 公園で走っている男の子を見ると、嫁さんはまだ言葉も話せない息子に語りかけるように「わあ! あのお兄ちゃん、足が速いねえ!」。雲梯(うんてい)で遊ぶ女の子がいたら「うわあ、あのお姉ちゃん、上手だねえ」とまた驚いてみせる。自分に驚いてくれる大人に気がついた子どもたちは「こんなこともできるよ!」と、さらに驚かせようと頑張りだす。嫁さんは一つ一つに驚きの声を上げる。

 そのうち、「この子、おばちゃんの子?」と訊いてくる。「そうなの。一緒に遊んでやってくれる?」と嫁さんが言うと、「いいよ! あっちに行って一緒に遊ぼう!」。自分の子がよその子の世話をし始めたことに驚き、母親が嫁さんに語りかけてくる。嫁さんは「しっかりしたお兄ちゃんですねえ!」「優しいお姉ちゃんですねえ!」と驚く。我が子を褒められたお母さんたちは嫁さんに心を開いて、街の有益な情報をいろいろ教えてくれたりする。