ヨーロッパは高緯度に位置するため、動植物の生育にそれほど適した地域ではありません。そのため人々の食生活は、元来はそれほど豊かではありませんでした。ヨーロッパの生活水準が大きく上昇したのは19世紀に帝国主義時代を迎えてからのことです。食料が外部世界からヨーロッパに持ち込まれたのが大きなきっかけです。
この時代になると、食事以外の面でもヨーロッパは豊かになっていきました。例えば、以前なら夜になるとすぐに寝なければなりませんでしたが、ガス灯のおかげで長い夜を過ごすことができるようになったのです。
いうなれば、現代社会に直接つながるようなライフスタイルが、帝国主義時代のヨーロッパで誕生したのです。
「帝国主義」というグローバリゼーション
19世紀後半の帝国主義時代、世界の政治経済の中心はイギリスでした。イギリスが圧倒的な経済力を背景に自由貿易政策を推し進めたため、世界市場は統一されていきました。イギリスは世界各地に鉄道を敷設し、また世界の海運業を支配することで、ますます世界の盟主としての地位を確固たるものにしていきました。
遠洋航海で使用される船舶は帆船から汽船へと代わり、それによって輸送コストも大きく低下しました。さらに輸送日数が劇的に短縮され、イギリスからオーストラリアまでの定期航路ができるようになりました。
食料に関しては、冷却技術と缶詰の技術の発達が大きく貢献しました。これによってアルゼンチンのステーキやカナダのサーモンが、ヨーロッパの食卓に乗るようになったのです。このように帝国主義とは、現代で言う「グローバリゼーション」の側面も強く持っていました。