ドイツに住む中華系市民は約21万2000人。在留邦人はそれよりもはるかに少ない4万4765人(2020年、外務省統計)である。在留邦人の割合の少なさ、日本から商品を輸送する際に海を越えなければならない点などを考慮すると、日本アイテムの割合が2位につけているのは、よく“健闘”しているほうといえるだろう。
しかし残念なことに、ドイツでは日本食の存在感は低い。ドイツ人の“日本産”に対するこだわりもほとんどない。
内海さんはこう語る。「残念ながらドイツの人たちは日本食を『アジアのどこかの食材』としか見ていないようです」。抹茶もこし餡も中国語のパッケージに包まれた中国産が出回ることで、いつのまにか日本人が好んで食べる食材が「中国の食品」と思われてしまう現象が起きているのだ。
インドのカレーがそうであるように、食文化は伝播とともに形を変えていくものだ。だが、本家本元の価値が毀損されるのは残念でならない。ぜひとも「本場の味」の実力発揮に期待したいところだ。