さらに、2020年はコロナ禍で空と海の輸送が一時的に制限されたことを受けて、年間運行本数は前年比50%増の1万2400本に達した(中国メディア「第一財経日報」より)。1日あたりに換算すると34本、すなわち42分に1本の貨物鉄道が中国からドイツに向けて発車する計算だ。取扱貨物量も前年比56%増の113.5万TEU(20フィートコンテナ換算)になったという。これまで中国から欧州への商品輸送は、船と飛行機が主流だったが、そこに「空よりも安価で海よりも短時間」という鉄道が加わるようになったというわけだ。
寿司は「中国の食べ物」?
go asiaはアジア各国の商品を扱っているが、店舗は中国色が強い。オープニングの際には獅子舞が躍り、店内には赤い提灯がぶら下げられる。そして、パッケージに中国語が書かれた冷凍食品や加工食品が大量に入荷され、「鍋底」(火鍋のもと)などの調味料が棚にズラリと陳列される。
そのためgo asiaを訪れる現地の人は、次第に「アジア=中国」というイメージを抱くようになっていく。
内海さんは次のように話す。「これまでドイツでは、『アジアの食べ物といえば寿司であり、寿司といえば日本』というイメージでした。ところがgo asiaのようなアジアンスーパーで、“なんちゃって寿司”が売られるようになったため、必ずしも寿司が日本とは結び付かなくなりました。ドイツ人にとって、寿司は日本の食べ物なのか中国の食べ物なのかが、だんだん曖昧になってきています」。
go asiaで取り扱う商品の国別の構成比(ネット販売部門に限る)を調べてみると、アジア12カ国のなかで、中国を原産国とするものがダントツに多く約46%に上る。そして2位が日本の約21%、3位がタイの約12%、4位が韓国の約11%と続く。