ドイツでは、こうしたアジアンスーパーが増えている。go asiaのほかにも中国系資本とおぼしき「フレッシュアジア・遠東超市」(2002年開業)、「開元亜超」(2008年開業)、「打醤油」(2015年開業)などが展開している。特に打醤油は欧州最大のアジア食品通販サイトを運営し、欧州以外にアフリカのモロッコにまで配送を行っている。在独アジア人のみならず、ドイツ市民もgo asiaを利用しており、「開元亜超」に至ってはドイツ人をもターゲットにした戦略を打ち出している。

ミュンヘン市内の従来型のアジア食材店舗

国際貨物列車「中欧班列」の影響も

 なぜここ数年の間にドイツの日常にアジアの食材が広まったのか。ドイツ南部の大都市ミュンヘンに16年在住し、日本企業のドイツ進出を支援するKobepublishing社代表の内海志保さんは、「鉄道による商品輸送が本格化したこともあるのでしょう」と語る。

 内海さんが言う鉄道とは、中国発・欧州行きの国際貨物列車「中欧班列」(Trans-Eurasia Logistics、またはChina Railway Express、以下「CRE」)である。

 中欧班列のルートはいくつかあるが、メインルートは、中国の重慶からカザフスタン、ロシア、ベラルーシ、ポーランドを経由して、ドイツ西部の工業都市デュイスブルクまでの全長約1万キロを14~15日で結んでいる。

 第一便が運航を開始したのは2011年3月。2年後の2013年に中国が「一帯一路」構想を提唱してから飛躍的に貨物量が増えた。