前政権高官で唯一気を吐くポンペオ氏
米国務省が3月30日公表した世界各国の人権状況をまとめた2020年版の人権報告書をめぐって米中両国が激突している。
中国・新疆ウイグル自治区について「ウイグル族らに対するジェノサイド(集団虐殺)や人道に対する罪があった」と断じた。
これに対し、中国外務省の華春瑩報道局長は、直ちにこう反発した。
「世紀の嘘、真っ赤な嘘であり、中国人民への最大限の侮辱、侵害だ。中国の少数民族は米国よりも幸福、平等で尊厳がある」
「(人種差別問題を抱えている)米国には中国の人権問題を非難する資格などない」
白人警官による黒人殺害やアジア系米国人に対する差別・暴行事件が今現在起こってい米国の現状を指摘されては米国もぐうの音も出ない。
これについてはすでに報道されている。ニュースではない。
ところが、同報告書に流れる基本スタンスでは米国内でもジョー・バイデン政権のアントニー・ブリンケン国務長官とドナルド・トランプ前政権のマイク・ポンペオ前国務長官とが真っ向から対立している。
米中の対立は同報告書に記された中国の人権状況だけではない。
世界保健機構(WHO)による新型コロナ発生源の調査報告の内容をめぐっても見解を異にしている。
もっともバイデン政権はコロナ感染が最初に確認された中国の対応に対しては懲罰的措置は取らないとしてきた。将来に向けた感染症対策の強力なシステム構築を重視するとの立場だ。
こうしたバイデン政権の対応にポンペオ氏は猛反発している。原因を徹底的に調べ上げ、責任を追及し、中国に国家的懲罰を与えよ、というのだ。