全世界で新型コロナウイルス感染症対応の様々な取り組みが日々工夫されています。
そのなかで、大学など教育機関が「遠隔講義」などのシステムを多用しているのは、ご案内の通りです。
これについて、2020年4月時点から一貫して「あらあら」と思っていることがあります。
地雷というか爆弾を平気で抱えるところがたくさん見受けられ、一つ間違うと追々、莫大な請求が来て大変なことになるのが目に見えている。
業務としての「動画コンテンツ」のシステム・アップロードです。
例えば以下のようなケースを考えると分かりやすいでしょう。何らかの学校に委嘱されて1回の授業をすると、それに対して謝金が出るというのが、常勤・非常勤の講師が行う「授業契約」です。
では、それが「1回」ではなく、ビデオ教材として、何回でも視聴できるものを提供せよ、ということであれば・・・?
現行の内外の著作権法は、音声動画について、基本、視聴のたびに権利料を支払う「ペイ・パー・ビュー」の考え方を原則にしています。
しかし、ウエブ上では、そんなことお構いなしの音声動画公開があふれています。
また、ユーチューブのようなシステムを考えもなしに見慣れてしまったことで、個人も組織も「著作権」の基本的な考え方を知らないまま、危なっかしいことを繰り返しています。
例えば、大学が常勤非常勤の先生に幾度でも繰り返して視聴できる音声動画教材の提供を求めたら、それに対しては権利者の死後50年後まで延々とお金を払い続けるのが本来の姿です。
昨今は少子高齢化で学校はどこも経営が危ないので「このビデオ教材を遠隔活用して」なんてバカな人が出て、勝手に大学が営利使用し著作権者に権利料を支払わないなどというケースが出てくる。
こうなると、100億円規模の賠償金請求も簡単に発生、大学の「遠隔システム倒産」がバタバタ出てきても全く不思議ではありません。