だが全世界的な脱炭素シフトの流れが加速していることから、石炭火力を継続することは交際交渉上、極めて不利になっており、中国は石炭火力の廃止を急ピッチで進めている。中国は日本から見れば驚異的なペースで再生可能エネルギーへのシフトを進めているが、それでも14億人の人口を抱える巨大市場において再生可能エネを普及させるのは並大抵のことではない。

 中国は2060年までの温室効果ガス排出量ゼロを実現するため、再生可能エネを使った発電所の建設を行うと同時に、石炭火力の廃止も進めている。だが再生可能エネ発電所の建設が追いつかない部分については、石炭と比較して排出量が少ないLNG火力を増強することで対応しており、これが中国のLNG輸入を増やす要因となっている

日本の電力逼迫は国内事情だけの問題ではない

 中国共産党による独裁国家である中国におけるエネルギーシフトの熾烈さは、日本からは想像もできないレベルである。

 中国は、新型コロナウイルスの発生をめぐってオーストラリアが第三者による調査を要求したことに反発し、豪州産牛肉の輸入停止など対抗措置を取っている。加えて中国は豪州産の石炭についても輸入停止措置を実施しているとされ、中国の沖合には中国に荷揚げできない石炭運搬船が停泊しているというニュースが流れた。中国は石炭の輸入停止を正式には認めてないが、事実上の禁輸措置を行っているのはほぼ間違いない。

 この措置はあくまで新型コロナウイルスをめぐる豪州との対立が原因だが、本当の理由は別にある。先ほどから説明しているように、中国は石炭火力の廃止を迫られており、急ピッチで石炭火力からの撤退を進めている。炭坑を含む石炭事業を縮小する中で、石炭業界関係者の大量失業を緩和するため、現時点で使う石炭は可能な限り国内炭にするよう切り換えを進めている可能性が高い。