(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)
本来ならば、東京オリンピック、パラリンピックは、とっくに終わっているはずだった。新型コロナウイルスの発生と蔓延さえなければ。それが延期となったことで“ボロが出た”と言うべきだろう。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長の発言が波紋を広げている。彼だって、本来ならばとっくにお役御免になっていたはずだ。
海外でも報じられた「女性蔑視」発言
森会長は3日の日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で、こう発言したとされる。
「女性がたくさん入っている理事会は、理事会の会議は時間がかかります。これは、ラグビー協会、今までの倍時間がかかる。女性がなんと10人くらいいるのか? 5人いるのか? 女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげていうと、自分もいわなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです」
JOCはこの日の評議会に、国が定めた組織運営指針「ガバナンスコード」に従い、女性理事の割合を40%にまで増やす目標を掲げて規定改定を行ったことを報告。それを受けての発言だった。
「結局、あんまりいうと、新聞に書かれますけど、悪口言った、とかなりますけど、女性を必ずしも数を増やしていく場合は、発言の時間をある程度、規制をしていかないとなかなか終わらないで困るといっておられた。だれが言ったとは言わないが。そんなこともあります」
「私どもの組織委員会にも女性は何人いたっけ? 7人くらいか。7人くらいおりますが、みんなわきまえておられて。みんな競技団体からのご出身であり、国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかりです。ですから、お話もシュッとして、的を射た、そういう我々は非常に役立っておりますが」
この発言に海外のメディアが反応。AFP通信は「東京オリンピックの会長が性差別発言」の見出しで報じれば、ニューヨーク・タイムズは、「東京五輪のトップ、会議における女性の制限を示唆」と伝えた。国内のメディアもこの発言を女性蔑視として批判的に扱っている。