森喜朗東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会会長 2020年12月24日撮影(写真:ZUMA Press/アフロ)

 日本独特の“茶番”が続いている。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が「女性がたくさん入る理事会は時間がかかる」などと女性蔑視ともとれる失言を発した問題は、日本国内のみならず世界中のメディアや有識者たちから非難を浴び、重大な国際問題にまで発展する勢いだ。

 日本のスポーツ界で“陰のキングメーカー”と崇め奉られる森会長の失言問題は当然のように政界にも波及している。野党からの森会長の辞任を求める声に、森会長の後ろ盾となっている政府・与党の自民党は対応に四苦八苦。菅義偉首相を筆頭に政府トップが、最大派閥出身の元首相で今も権力を誇示する森会長を何としてでもかばおうとしている。時間稼ぎを決め込み、“逃げの一手”でどうにか事態の鎮静化を図ろうとしているのはミエミエである。

IOCの手のひら返しと小池都知事のダメ押し

 しかしながら当初は「森会長が謝罪したので問題は終了」としていたはずのIOC(国際オリンピック委員会)が朝令暮改のごとく「全く不適切だった」と声明を出し直したことで、森バッシングは歯止めがかかるどころか、もはや制御不能の状況となっている。

 17日には森会長とIOCのトーマス・バッハ会長、政府の橋本聖子五輪相、そして東京都の小池百合子知事が顔をそろえ、4者会談が行われる方向で調整されていた。ところが10日に小池知事が「ポジティブな発信にはならない」と出席を拒否。事を丸く収めようとしている政府・与党、組織委幹部らも、いよいよ火消しが出来なくなりつつある。