自身も地域資源の「6次産業化」に取り組む片桐新之介(地方創生コンサルタント)氏による「なぜ地方創生はうまくいかないのか」の4回目。今回は、逆に成功した地方創生プロジェクトについて分析する。
※1回目から読む。
(片桐新之介:地方創生コンサルタント、第6次産業コンサルタント)
前回までの記事では、地方創生を目指した特産品開発の失敗と、その失敗を生む構造について論じてきた。では、成功事例はないのだろうか。
筆者としては、農林水産省や省庁、市町村のHPなどに「成功事例」として挙げられている事例について語る前に、そもそも地方創生に寄与する特産品開発の「成功」とは何か、ということを定義するところから始めたいと思う。
ビジネスにおける成功とは、「投じた資金、時間に対して、想定していた効果が得られたこと」が「成功」だ。ここでいう「想定していた効果」とは、売り上げであり、その地方や特産品の原材料などの知名度の向上である。その設定がしっかりしていたかどうかが肝要だ。
しかし、この点に関して、どういう根拠において設定されていたのかということを測るのが難しい。先日挙げた塩谷町の事例のように、マーケットリサーチもほとんどないままに「目標」だけが立てられていなかっただろうか。
各所で取り上げられている成功事例としては、中小企業庁が出している「地域活性化100」が挙げられる。その中のいくつかの「特産品開発の成功」について取り上げていきたい。
まず、周防大島のジャムズガーデン(山口県周防大島町)だ。