常に日本の課題であり続ける地方創生(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

(片桐新之介:地方創生コンサルタント、第6次産業プランナー)

 2020年、世界中で蔓延した新型コロナウイルスの影響は、日本における「地方創生」にも大きな影響を与えている。特に大きな影響を被ったのは観光業とそれに係る産業だが、飲食店に生産物を納入する農業など第一次産業、その流通に関わる人も大きなダメージを受けた。

 生産品が出荷できない農業漁業者のために、ECサイトなどで直接購入する動きも始まったが、焼け石に水といった感がある。農業生産物を生産者から直接購入するのは表面上大きな効果があるように見えるが、そういった農業生産物を取り扱い、流通に関わる人、料理する人などもいる。

 食産業という広い視野で見れば、極めて多くの人が地方を中心に働いている。観光業もそうだが、関連産業が多岐にわたる業界への「損害補償」は、範囲をどのように決め、どうカバーすべきか、ということを議論するのが難しい。いずれにせよ、どの分野もそれなりにダメージがあるのは確実だ。

出典:平成30年 農業・食料関連産業の経済計算(概算)農林水産省

 地方創生においては、いかに地方の中に経済効果を発生させるかがカギである。今回、これまでの地方創生の動きを検証しつつ、その政策がどのような効果があったのか、もしくはなかったのかを検証しつつ、これから5回にわたって地方創生のあり方について論じてみたい。