第1には、国際情勢の的確な判断が苦手なことだ。朱子学の影響で大義名分論を判断の中心に置くために、冷静な分析ができない。国内で政争を繰り返している間はそれでよかったのかも知れないが、国際関係を大義名分論で解釈すると大変な間違いを犯すことになる。

 第2には中華民族を敬うが、それ以外を野蛮人と見下すこと。

 第3には相手が本気で攻めて来ると、全く戦う気がないことだ。

 馬鹿にしたような態度をとり続ければ、相手が怒って攻めてくることは容易に想像がつく。もし戦うつもりがないのであれば、相手を馬鹿にしない方がよい。しかし李氏朝鮮の人々は戦うつもりがないのに、相手を見下すような行動を取り続けた。

「野蛮人」に統治されたという屈辱

 このような歴史を知れば、なぜ韓国人が従軍慰安婦や徴用工の問題を蒸し返すのか、その心中を理解できよう。

 第1には、韓国はこの問題を冷静な国際情勢判断に基づいて蒸し返しているわけではない。心のおもむくままに日本を攻撃しているだけだ。本来は民衆をなだめて冷静な外交を行うべき政治家や外務官僚も、民衆と一緒になって日本を攻撃している。これでは韓国政府と話し合っても無駄である。

 韓国の民衆が従軍慰安婦や徴用工の問題で盛り上がるのは、心に大きな不満を抱えているからに他ならない。新自由主義路線によって経済は成長したものの、国内に極端な格差が生まれてしまった。それは、左派の文在寅政権が誕生した程度では是正できない。もはや革命でも起きない限り、是正は不可能であろう。それが多くの人をいらいらした気分にさせている。