韓国政府が、日本との徴用工問題のようにこのまま米国との関係見直しに進んでいけば、日韓関係と同様に、米国との信頼関係を根本的に揺るがすことになるだろう。それは東アジアの平和と安定に少なからぬ影響を及ぼすことになりかねず、日本としても看過できない問題である。

「米韓関係の見直し」に韓国政府はどの程度関与しようとしているのか

「朝鮮日報」は日増しに激化する米中対立と関連して、政府が明確な原則や戦略を明らかにせず、あいまいな態度で一貫して米中双方に誤ったシグナルを与えていると批判的に指摘している。

 ビーガン米国務副長官が12日、「クアッド(米日豪印4カ国外相会議)はほかの国にも開かれている」と述べて、韓国の4カ国外相会議参加を遠回しに要請したが、これに対して韓国政府が「米国は4カ国外相会議参加を正式要請していない」と距離を置く姿勢をとっていることにも触れている。

 このように米韓がぎくしゃくした関係にある中で出てきたのが、今回の李大使の極めて不適切な発言である。本来、このような発言が出てきたときには外交部長官が直ちに否定し、大使を叱責するのが順当なやりかたであるのだが、康京和外交部長官も青瓦台も静観したままである。

 逆に政府与党内には、李大使の発言を支持する動きさえある。金太年(キム・テニョン)共に民主党院内代表は14日、李大使の発言に関し「同盟で国益が重要だという当然の発言がなぜ議論になるのか、攻撃の対象になるのか首をひねる」、「韓米は70年間堅固な同盟関係を維持しており、両国は今後も共有する価値のため緊密に協力するだろう。しかし、同盟を聖域のように神聖視する態度は行き過ぎ」などと弁護した。

 しかし、この発言は論理のすり替えである。確かに同盟に国益は重要だ。しかし、韓国にとっての国益は米国との固い絆であるはずだ。李大使の発言はこの点をないがしろにしており、李大使の発言によって米韓関係にひびが入るような事態になれば、それこそ国益を損なうことになる。

 李大使の発言が韓国政府の総意でないことを願わずにはいられない。