急速充電する「ホンダe」。横浜での報道陣向け試乗会にて(筆者撮影、以下同)

(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

 2020年9月、米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事が「2035年までにインターナルコンバッションエンジン(ICE)の新車販売を禁止する」と発言した。ICEとは内燃機関を意味する。要するにカリフォルニア州では今後、ガソリン車、ディーゼル車の新車販売を禁止していくということだ。

 その前日には、米テスラのイーロン・マスクCEOが「2023年を目途に2万5000ドル(約265万円)の新型EVの量産を目指す」と発表するなど、このところアメリカから発信されるEVにまつわる大きなニュースが多い。

「ホンダe」は欧州市場を強く意識

 日本国内でも、日産が復活に向けたシンボルとして、2021年発売予定のEV「アリア」をテレビCMなどで積極的にプロモーションし始めている。

 また、ホンダは8月末にEV「ホンダe」(10月末発売予定)のユーザー向け試乗イベントを東京・代官山で開催し、9月中旬には報道陣向けの公道試乗会を実施した。

 ホンダによると、同車の開発の起点となったのは欧州だという。背景にあるのは、欧州共同体(EU)の執行機関である欧州委員会(EC)が積極的に推進している欧州グリーンディール政策に基づく、世界でも最も厳しいレベルのCO2規制である。EUは2021年からCAFE(企業単位で達成しなければならないCO2の排出量平均値)規制をさらに厳格化する。その対応として自動車メーカーはEVやプラグインハイブリッド車を主体とした電動車の販売が必須となっている。