「令和婚」の反動で今年の結婚件数が減っているのは事実だが、コロナの影響で離婚が増えているという事実はない(写真:PantherMedia/イメージマート)

 婚姻件数はこの3-6月の間、前年同期比34%も減っている。コロナ禍の中では、人と人が会うことが敬遠される。その影響を受けている最たるものは結婚式だ。結婚式と同時に婚姻届けを出す人は多く、結婚式の激減が婚姻件数に影響を与えている。2019年5月が結婚ブームだった反動ももちろんある。「令和婚」だ。令和元年が5月1日からだと決まっていたこともあり、この月に結婚が集中した。とはいえ「令和婚」の影響を除いても今年は2割ほど減っていることは確かだ。

 その一方で、コロナ離婚という言葉がニュースの用語として踊った。これの意味するところは、夫もしくは夫婦で在宅勤務をすることになり、四六時中夫婦が一緒に居ることによるストレスによって離婚を検討するというものだ。確かに、ライフスタイルの変化は双方が慣れないがゆえに、ストレスが発生しやすいかもしれない。そこから出る愚痴はママさんたちのコミュニティ内で共有されることだろう。しかし、それは愚痴でしかない。

 離婚には新婚旅行帰りで別れる成田離婚から、子育て終了と同時に別れる熟年離婚まで今やいつでも起こり得るものだ。既に、一般化したと言っていいだろう。「バツイチ」「バツニ」と聞いてももはや驚きを覚えない。

 今や婚姻件数のおよそ3分の1の離婚件数が発生する時代である。さぞかし、コロナ離婚の件数が多いのかと思いきや、離婚件数は前年同期比で21%も減っている。夫婦仲が悪くなるケースよりも良くなったケースが多いという簡易調査もある。実際にコロナ離婚はあるのだろうが、その数に対して離婚を取りやめた数の方が多いのは統計上、明らかだ。通勤時間が減る中で、夫婦間で会話が増え、家事や子どもの分担で負担が軽減しているというメリットの方が明らかにある。