千葉市議会議員の田畑直子氏は、ひとり親家庭が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けやすく、困窮状況にあるにもかかわらず、行政が十分に対応できていないことを痛感した。アンケート調査とオンライン座談会で明らかになったひとり親の置かれている現状と、国や自治体が取るべき施策について論じる。(JBpress)
※本記事はPublicLab(パブラボ)に掲載された「新型コロナ禍のひとり親家庭への支援(1)~(5)」を再構成したものです。
(田畑直子:千葉県千葉市議会議員)
新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言下でのひとり親家庭は、世帯主として家計を支えながら、子育ても一人で担っているため、就労環境の悪化などによる経済的な打撃や、学校の一斉休校、保育所・学童クラブなどの利用自粛による子育ての負担増加の影響を受けやすく、家庭環境が深刻な状況に陥ることが懸念された。
しかし感染拡大当初、ひとり親とその子どもたちがどういう状況に置かれているのか、その実態について、世論や国会の議論に上ることはなく、取り残されていた。
筆者は、全国各地の地方議員と意見交換する中で、ひとり親がコロナ禍で困窮状況にあるにもかかわらず、行政が十分に対応できていないことを痛感した。実態把握もできておらず、ひとり親家庭という存在が抜け落ちてしまっていると言っても過言ではない状況であった。
離婚数の増加に伴い、ひとり親家庭は、増加傾向にある。前述の通り、就労環境や収入が不安定であり、頼るものが無い中で、子育てを一人で担うため、貧困に陥る家庭も多く、教育格差も懸念される。最悪の場合は、粗悪な家庭環境となり、児童虐待などのリスクも高まることから、ひとり親への支援は喫緊の課題である。
そこで、実情を知る議員が、率先して動くべき課題であると考え、全国の地方議員と連携して「ひとり親家庭支援のための地方議員ネットワーク」を設立した。
本稿では、その活動を通して明らかになったひとり親の置かれている現状と、国や自治体が取るべき施策について論じる。
ひとり親の現状と課題
厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、母子世帯と父子世帯の状況は図の通りである。
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