千葉市議会議員の田畑直子氏は、ひとり親家庭が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けやすく、困窮状況にあるにもかかわらず、行政が十分に対応できていないことを痛感した。アンケート調査とオンライン座談会で明らかになったひとり親の置かれている現状と、国や自治体が取るべき施策について論じる。(JBpress)

※本記事はPublicLab(パブラボ)に掲載された「新型コロナ禍のひとり親家庭への支援(1)~(5)」を再構成したものです。

(田畑直子:千葉県千葉市議会議員)

 前回は、新型コロナウイルス感染拡大がどのような影響を与えたか、ひとり親を対象として行ったアンケート結果と、オンライン座談会の内容を紹介した。今回は、それらに基づいて、ひとり親に対してどのような支援が必要か、自治体および国に対する具体的な提言を行う。

新型コロナで困窮、ひとり親家庭の実状が明らかに
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61824

自治体への要望

 自治体では、新型コロナ禍のひとり親家庭の実態把握をし、的確な支援を実施する必要があるが、ほとんどの自治体では把握していない。生活困窮への対策は、緊急性が高いため、国に先駆けて、現金給付をした自治体もあったが、主な支援は、国のひとり親世帯臨時特別給付金であった。

 しかし、経済的な影響だけにとどまらず、家庭環境や子どもの日常、心身にも影響があったことを踏まえ、子育てや学習の支援、相談体制を拡充する必要がある。そのため、「ひとり親家庭支援のための地方議員ネットワーク」では各議員が定例会で取り上げた結果を総括し、今後の活動に反映していく。以下、自治体に求める具体的な施策について列記する。

収入・就労の確保

・児童扶養手当対象世帯等への現金給付を実施すること。一時的な支援にとどまらず、新型コロナによる経済活動の停滞に鑑み、継続的な現金の上乗せ給付を行うこと。

・失業した保護者への緊急措置として、会計年度任用職員採用時への優遇をするなど就労の確保を実施するほか、安定収入のため、地元雇用の開拓を行い、就労支援を実施すること。

・就学援助の準要保護世帯には、給食費相当費用の給付を実施するとともに、食の提供を行う民間や地域団体等と連携し、公共施設の貸与や必要とする家庭へ情報提供などを実施すること。