中国政府の規制強化で交渉が暗礁に

 ところが、中国政府が8月28日夜に発表した技術輸出の規制強化によって、これらの交渉は暗礁に乗り上げた。中国の商務省と科学技術省は技術輸出リストを改訂。新たな輸出制限の対象に「コンテンツ・レコメンデーション」や「テキスト解析」「音声認識」といった、AI(人工知能)を使うデータ処理技術などを加えた。

 これにより、ティックトックが開発・採用する「アルゴリズム」技術を含む事業売却が困難になったと言われている。アルゴリズムは、どの利用者に対しどの動画を表示するかを決めるもので、サービスの根幹を成すもの。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、この技術なしではトランプ大統領が懸念する国家安全保障の問題を解決できないという。

トランプ大統領は容認するのか?

 今回のバイトダンスとオラクルの提携案は、こうした経緯から浮上したという。ただし、これをトランプ大統領が容認するかどうかは分からない。ロイターによると、国家安全保障への影響を検討する対米外国投資委員会(CFIUS)が現在、提携案を調査しているという。

 バイトダンスはCFIUSが2年前に承認した、中国泛海控股集団による米保険会社ジェンワース・ファイナンシャルの買収事例を示して、提携案を承認してもらいたい考えだという。

 この時、泛海はジェンワースの米国内保険契約者のデータ管理を米企業に任せることで合意した。バイトダンスはオラクルとの提携でも同様の方法で米国人データの安全を確保できると主張する構えだという。

 バイトダンスは2012年創業。2016年にティックトックの前身となったアプリ「抖音(Douyin)」を立ち上げた。これは、米カリフォルニア州にも拠点を置き、当時米国でも多くの利用者を抱えていた中国の動画投稿アプリ「ミュージカリー(Musical.ly)」を模倣したものと言われている。

 バイトダンスは2017年9月、抖音の国際版であるティックトックを立ち上げた。その後の同11月に、約10億ドル(約1100億円)でミュージカリーを買収。2018年8月にティックトックとミュージカリーを統合し、利用者アカウントやデータを引き継いだ。これによりティックトックの利用者数は急拡大した。これまで、CFIUSがこれらの経緯やデータ移行のプロセスに絡む国家安全保障上の問題を調査していると伝えられていた。

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