中国・北京字節跳動科技(バイトダンス)傘下の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の行方が混沌としてきた。
同アプリの米事業を米国企業が買収すべく、当事者間で協議が行われているものの、その交渉が難航していると、米ウォール・ストリート・ジャーナルが報じている。
問題となっているのは、ティックトックが開発し、サービスに採用している「アルゴリズム」。これは、どの利用者に対しどの動画を表示するかを決めるもので、サービスの仕組みの根幹を成すものとみられている。
ティックトックが米事業を売却するにあたり、このアルゴリズムを取引に含めるかどうかの問題が交渉を困難にしているという。
中国政府が技術輸出の規制を強化する前までは、アルゴリズムは取引の対象だった。しかし、今は中国政府の承認が必要になるのか、必要となる場合果たして承認を得られるのか、などを当事者間で検討しているという。
いずれにしても、この交渉がすぐにもまとまる可能性は低まったと、ウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。
中国政府が技術輸出リストを改訂
これに先立つ8月28日夜、中国の商務省と科学技術省は技術輸出リストを改訂した。新たな輸出制限の対象に「コンテンツ・レコメンデーション」や「テキスト解析」「音声認識」といったデータ処理技術などを加えた。これにティックトックの技術が含まれている可能性があり、米企業による買収交渉が困難に直面しそうだと指摘されていた。
今回のウォール・ストリート・ジャーナルの記事によると、ある関係者は「コンテンツ表示アルゴリズムは、企業価値の大部分を占めており、これなしで買収交渉が進められるとは考えにくい」と話しているという。
一方で、別の関係者は、「利用者を獲得する目的で買収し、アルゴリズムは新たに開発すればよい」と指摘しているという。