海外から「謎の種」が入った郵便物が米国の消費者に送り付けられる例が続出したことを受け、米アマゾン・ドット・コムが外国の業者による米国向け植物の販売を禁止したと、米ウォール・ストリート・ジャーナルが報じている。
「謎の種」、米国や日本、カナダ、英国で続出
アマゾンは外国の出品者に対し、9月3日付で植物や種子の米国への輸出販売を禁じると通知した。これに合わせて出品規約も改訂した。
この数カ月間、数万人の米国人が、注文してもいない種子を郵便で受け取ったという。これらの郵便物のほとんどは中国の消印が押されており、宝飾品や玩具といった品名が書かれていた。同様の例はカナダや英国でも起きているという。
この不審な種子入り郵便物は日本にも届けられているようだ。農林水産省植物防疫所は「注文をしていないのに海外から種子が郵便などで送られてくる事例がある」とし、「庭やプランターなどに植えないように」と注意を促している。
今回のアマゾンの規約改訂は、米農務省や米国土安全保障省の税関・国境警備局、米郵政公社、米各州の農務当局が調査を進める中で実施されたという。
農務省はこれまで2万件近くの報告を受けた。約9000個の郵便物を回収、約2500袋を調査し、有毒な雑草の種子や害虫などを特定した。当局はこうした外来生物や、植物につく病気が米国の農業に害を及ぼすと懸念しているという。
ブラッシング詐欺とは?
なぜ、何者かが「謎の種」を送り付けているのか、その目的はまだよく分かっていない。しかしEC(電子商取引)上の「ブラッシング詐欺」との見方が有力だとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。
業者は勝手に物品を送り付けて偽の販売実績を上げる。送付後は受取人に成り済ましてサイトで高評価を付ける。こうすることで自社の露出を増やし、信用度を高めるのだという。
ウォール・ストリート・ジャーナルの別の記事によると、具体的な手口は次のようなものだ。