「リーダーシップ」を発揮する目的は?

 リーダーシップを発揮する際、ただ闇雲にメンバーを統括するのではなく、目的を明確にすることが大事になる。目的を把握することで、どのスタイルのリーダーシップを発揮するべきかがわかる。大きく4つに分けて目的を紹介したい。

(1)タスクや目標の達成
 リーダーシップを発揮するための目的は目標達成にある。個人ではなく複数人で達成しなければならない目標の場合、個々でバラバラに行動しても達成することはできない。ゴールに到達するためには、組織をけん引する必要がある。

(2)団結の維持
 チームの団結力を高めるにはリーダーシップが不可欠。それぞれのメンバーの士気やコミュニケーションの質を高めることで、それぞれが役割を全うし、高い目標を達成することができる。

(3)個人の能力開発
 リーダーシップは個人の能力を高めるためにも必要不可欠と言える。リーダーとしてメンバー自身に考え行動させることで、個々の能力を高めることができる。

(4)ダイバーシティの推進
 近年、リーダー職や管理職以外のメンバーにおいても、それぞれがリーダーシップを身につけることが求められている。背景には、事業環境の変化のスピードアップに加え、女性活躍推進といった従業員のダイバーシティ推進も影響している。有能な人材の発掘、新しいアイデアへの期待から普及したダイバーシティの考え方ではあるが、同時に一人のリーダーで束ねていくことが難しくなってきている。単に多様な人材が集まっているだけの組織では、秩序や生産性が失われてしまうことも考えられる。多様性を企業の力に変えていくためには、メンバーそれぞれがリーダーシップを発揮し、シナジーを生み出していく必要がある。

「リーダーシップ」に必要な能力とは?

 リーダーとして組織をけん引していくためには、どのような能力が必要になるのだろうか。要素として7つ紹介する。

(1)発想力
 リーダーシップの要は、ビジョンを描き、組織やチームが進む方向を定めることにある。新たなビジョンを描くためには、革新的なアイデアを生み出す発想力が必要になるだろう。

(2)決断力
 考え出したいくつものアイデアの中から一つを選び、決断する能力はリーダーシップの発揮には必要不可欠な能力と言える。リーダーシップを行使していく過程では、決断力は様々な場面で求められる。

(3)行動力
 リーダーシップを発揮して組織やチームを先導していくビジネスパーソンには行動力がある。社員や部下にビジョンを理解してもらうといった目的のために、躊躇なくアクションを起こせる行動力は、リーダーシップの重要な要素の一つだろう。

(4)コミュニケーション能力
「リーダーシップを発揮する」ことは、すなわち「周囲の人を動かす」ことを意味する。周囲の人の心を動かし、行動を変えていくには、自分の考えや思いを適切に伝え、相手の言動を正しく読み取るコミュニケーション能力が必要不可欠だ。

(5)誠実さ
 様々な能力を持っていても、不誠実な人はリーダーには不向きと言える。約束を守る、嘘をつかないといった基本的なことだけでなく、危機的状況に陥っても逃げない、責任を取る能力があるといった誠実さが求められるからだ。

(6)安定した精神
 どれだけ発想力や決断力に優れている人でも、精神的な浮き沈みがあれば十分に能力を発揮できなくなる。そのため、常にリーダーシップを発揮するには精神的な安定が必要になるだろう。また、リーダーシップを発揮し、組織やチームのメンバーを率いていく過程においては、ビジョンややり方に対して批判や反論を寄せられることもある。そのような場面においても冷静な態度を保ち、意見を受け止めて寛容な対応を取ることのできる成熟した精神が必要になるだろう。

(7)信頼感
 高い能力を持ち安定したパフォーマンスを発揮する人でも、「信頼できない」と感じられたら誰も付いていかないだろう。リーダーシップを発揮して多くの社員や部下を率いていくためには、何よりも彼らから信頼を得る必要がある。

 近年、プロジェクト単位での業務の増加やダイバーシティの推進によって、管理職以外の従業員もリーダーシップを発揮することが求められている。ただ一口にリーダーシップと言っても、様々なタイプやスタイルがある。組織やプロジェクトを率いる際は、まず自分の特性や組織の状況を把握することが重要と言える。

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HRプロ編集部

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