組織をけん引するリーダーとしての資質や能力を指す「リーダーシップ」。ビジネスパーソンに求められる能力の中でも重要なものだ。近年の働き方の変化によって、プロジェクト単位で動く業務も増え、これまで以上に多くのビジネスパーソンがリーダーシップを身につける必要に迫られている。本記事ではリーダーシップの定義や種類、目的、必要な能力などについて解説する。

「リーダーシップ」とは?

「リーダーシップ」とは、組織をけん引するリーダーとしての資質や能力を指す。会社やチーム内で業務を進める際、複数人で成果をあげるには、リーダーではなく、メンバーの力も必要不可欠になってくる。リーダーは、メンバーの行動の模範となり、良い影響を与えてメンバー自らを行動させなければならない。そこで必要になってくるのが「リーダーシップ」だ。ここでは、「リーダーシップ」を理解するうえで、PM理論やマネジメントとの違いを紹介したい。

・PM理論
 リーダーシップ理論の一つとして知られるPM理論によると、リーダーシップには、「目標達成機能(Performance function:P機能)」と「集団維持機能(Maintenance function:M機能)」の二つのタイプがある。

 目標達成機能とは、目標達成のために組織の生産性を高めるための働きを指す。例えば、このタイプのリーダーは、業績が芳しくない社員に対して厳しく指導する。また、目標を定め計画を立てて指示を出すといった、成績・生産性を向上させるための能力に長けている。

 一方、集団維持機能とは、組織の団結を高めるためにメンバーの士気を高める働きを指す。例えば、元気のない社員や成績のよくないメンバーに対して、仕事の愚痴を聞いたり、飲み会を開いて労ったりする行動を取る。集団維持機能を備えるリーダーは、チーム全体の人間関係に着目し、友好に保つとともに強化・維持する能力に長けている。

 PM理論では、さらに上記2つの機能の大きさによって、リーダーのタイプをPM型・Pm型・pM型・pm型の4つに分類することができる。なかでもP機能とM機能の2つがともに大きいPM型は、リーダーの理想像として定義されている。目標達成の行動力もありながら、チーム全体を良好かつ強化・維持できるリーダーと言える。


・マネジメントとの違い
 リーダーシップとマネジメントという言葉は、混同されることが少なくない。大きな違いとしては、リーダーシップとは「どんな(What)」ビジョンに進んでいくのか、マネジメントとは「いつ(When)」、「どのように(How)」業務を進めていくのかを指す。

 また、リーダーシップとマネジメントは、「影響力の源泉」、「行動の視点」、「経営レベル」の3つの役割において違いがある。リーダーの影響力の源泉になるのは、人望や人型などの権威。一方、マネージャーの場合は、社内の地位や権力が影響力の源泉となる。

 視点も異なり、リーダーはメンバーやチームがどうすべきか、どうなっていくべきかとった未来視点で物事を考える。マネージャーの場合は事業計画に記載されている数値や課題など今起こっている問題に目を向けて動く。経営レベルにおいては、リーダーはチームの目標に向かってメンバーを引っ張っていく存在。マネージャーはリーダーの行動を軌道修正する存在と言える。