アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド(以下、アメリカン・エキスプレス)は2021年3月4日、「アンビシャス・インサイト」と題し、世界10ヵ国の女性3,026人を対象に行った調査の結果を、国際女性デーに合わせ発表した(調査期間:2020年1月10日~1月16日)。加えて、ダイバーシティー&インクルージョン領域における様々な項目の見直しを実施し、意図せず生じていた男女間の賃金格差を是正したという。

日本女性のキャリアや私生活に対する「向上心」は世界に比べ低い傾向に

「管理職の女性比率」や「夫婦別姓」など、日本における女性の権利に関する課題は山積している。このような中、日本の女性は自身のキャリアや私生活にどのような考えを持っているのだろうか。

 アメリカン・エキスプレスは、「アンビシャス(自身の私生活やキャリアに向上心を持つこと)」に関する調査を、日本を含む世界10ヵ国(アメリカ、オーストラリア、カナダ、フランス、インド、ドイツ、イタリア、日本、メキシコ、イギリス)の女性に実施した。まず、「アンビション(向上心)を持つこと」に対する意識を尋ねると、「非常に重要だと思う」との回答は、世界全体で59%と6割近くにのぼった。国別では、インド(89%)、メキシコ(82%)、アメリカ(68%)の順に高く、日本は28%と10ヵ国中最下位となった。

 女性のキャリアに関する質問として、「キャリアを成功させることは重要か」と尋ねると「非常に重要」と回答したのは、インド(78%)、メキシコ(69%)、アメリカ(44%)の順に高く、日本は最下位で17%にとどまった。

 また、「キャリアにおいて自身のアンビションを達成する自信はあるか」についても、インド(68%)、メキシコ(59%)、アメリカ(31%)、ドイツ(30%)などが「非常に自信がある」と回答したのに対して、日本は8%という低い結果だった。

 続いて、私生活についての意識を調査。日本では「健康を重視する」という項目の回答が55%と高く、他の分野のアンビシャスを20ポイント以上も上回る結果に。さらに「スキルや趣味」へのアンビシャスは、フランス(23%)、イギリス(23%)、日本(19%)がワースト3となった。

 さらに、「女性にとって影響力のあるメンター」を尋ねたところ、ドイツ(男性:47%、女性:53%)と、メキシコ(男性:50%、女性:50%)は男女のバランスが取れていたが、日本では「女性に影響力のあるメンターは女性の方が圧倒的に多い」傾向となった(男性:24%、女性:76%)。

アメリカン・エキスプレスでは「性別間の賃金格差是正」などに取り組む

 同社はこの結果を踏まえ、多くの女性のキャリア開発や社会進出には、女性一人ひとりが誇りを持てる文化を「企業」、「地域」、「国」で作り上げることが不可欠であると考え、次の3点を軸としたさまざまな取り組みを実施していくという。

(1) 性別における賃金格差の是正
 日本を含む世界中の社員において、業種や役職単位での100%賃金平等を達成。さらに、アンコンシャス・バイアス(無意識な偏見)に関するトレーニングや、無意図に生じている賃金格差について毎年見直しを実施することで、誰もが平等に評価される仕組みを作っていく。

(2) 社内文化の形成
 女性社員のネットワーク「Women's Interest Group(WIN)」を中心に、「キャリア開発」、「ウェルビーング(心身の健康)」、「メンター制度」等の活動を通年実施し、ボトムアップで女性が活躍する企業文化づくりを推進。役職を取り払ったパネルディスカッションや、グローバルをつなぐ会議等を開催していく。

(3)女性のリーダーシップ育成
 キャリアは自分で作っていく(Own my career)というコンセプトのもと、積極的に女性リーダーが活躍する文化を醸成。 女性比率の少ない営業職では、女性に特化したセミナーを開催する等、身近なロールモデル作りを通して共通の悩みを共有する場を設けるなど、各部署の課題にあわせた取り組みを実施する。

 世界と比べ、日本の女性は自身のキャリア感を悲観している状況にあることがわかった。女性が自らのキャリアを自律的に構築し、コントロールしていける環境や風土を社会全体で醸成していくことが重要だ。企業は、改めて姿勢や取り組みを検討してみてはいかがだろうか。

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HRプロ編集部

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