ディプロマット・ジャパン株式会社は2020年12月、「テレワークにおける機密書類・重要書類のセキュリティリスク及びその実態」に関する調査結果を発表した。調査期間は2020年12月14日~15日、都内在住のテレワーク導入企業の経営者で、自社の社員が機密書類・重要書類を持ち帰ることがあるという100名から回答を得ている。これにより、機密書類等の扱いやリスクに関する実態と課題などが明らかとなった。

テレワークで「機密書類・重要書類の流出や紛失リスク」は高まるのか

 はじめに「テレワークの実施により、社員の自宅での機密書類や重要書類の流出/紛失のリスクは高まっていると感じるか」と尋ねた。すると「非常に感じる」が34%、「感じる」が42%と、あわせて76%の経営者が「機密書類の管理にリスクがある」と感じていた。

まず行うべきは、「自宅での文書管理方法を統一すること」

 前設問で「非常に感じる」または「感じる」とした回答者に対し、「社員の自宅での機密書類や重要書類の流出/紛失のリスクを抑えるために工夫していること」を尋ねた。最も多かったのは「自宅での機密書類や重要書類の管理方法を統一する」で57.9%が回答。2位は「社内で機密書類や重要書類の管理について注意喚起する」と「機密書類や重要書類を扱える人を限定する」が共に44.7%となった。

流失/紛失防止には、「取扱い時の意識教育」や「保管場所の確立」などが有効との声

 さらに自由回答で「社員の自宅での機密書類や重要書類の流出/紛失のリスクを抑えるために、有効だと思う工夫」を尋ねたところ、以下のような回答が寄せられた。

・紙書類を削減し、可能な限りデジタル化する(60歳)
・金庫を利用する(58歳)
・全てのデータをクラウドで管理する(59歳)
・機密書類を取り扱っている意識を教育する(52歳)
・基本的には持ち出しを禁止する(56歳)
・各書類の管理者の明確化(57歳)

書類の取扱いが不安な場面には「SNSにテレワークの様子を投稿していた時」など

・すぐに持ち出されないようにはしているが、空き巣などに入られた場合は基本的に防ぎようが無い(53歳)
・流出は心配していないが、紛失が怖い。仕事に必要なので仕方ない(59歳)
・テレワークの様子を個人のSNSに投稿していたのを見つけ不安を感じた(53歳)
・経理書類を鞄で持ち歩いていた(57歳)
・テレワーク中の管理状況が把握できていない(57歳)

 テレワークの普及にともない、重要文書や機密書類などの扱いに関する「社員のリテラシーの向上」は喫緊の課題となっている。「社員の意識教育」といった情報漏洩対策ルールの徹底とともに、デジタル化などの根本的な打開策を模索してみてはいかがだろうか。

著者プロフィール

HRプロ編集部

採用、教育・研修、労務、人事戦略などにおける人事トレンドを発信中。押さえておきたい基本知識から、最新ニュース、対談・インタビューやお役立ち情報・セミナーレポートまで、HRプロならではの視点と情報量でお届けします。