連載「実録・新型コロナウイルス集中治療の現場から」の第11回。医療体制を逼迫させる院内感染——。それを起こす病院には共通点がある!? 讃井將満医師(自治医科大学附属さいたま医療センター副センター長)が感染管理の専門家に訊いた院内感染の防止策とは?

 新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が4月の水準を超えてしまいました。焦眉の課題はもちろん感染拡大を食い止めることです。しかし、あわせて忘れてはならないのは院内感染の防止です。

 ひとたび院内感染が発生すると、医師や看護師をはじめ濃厚接触者となった医療スタッフは自宅待機しなければならず、医療サービスの供給が著しく低下してしまいます。外来および入院患者の受け入れを停止しなければならない場合もあります。結果、地域全体の医療体制の逼迫につながってしまうのです。

 では、どうすれば院内感染を防止できるのでしょうか。国立病院機構西埼玉中央病院看護部で感染管理を担当し、埼玉県新型感染症専門家会議のメンバーでもある坂木晴世看護師にお話を伺いました。

◎坂木 晴世(さかき・はるよ)
感染管理認定看護師、感染症看護専門看護師(2010年、国内2人目の資格取得)、日本環境感染学会評議員。国立病院機構西埼玉中央病院看護部に所属し感染管理を担当するかたわら、埼玉県新型感染症専門家会議のメンバーとして新型コロナウイルス感染症対策にあたっている。

坂木晴世(さかき・はるよ) 感染管理認定看護師、感染症看護専門看護師(2010年、国内2人目の資格取得)、日本環境感染学会評議員。

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讃井 まず、院内感染とは何かから伺いたいと思います。新型コロナ感染症の報道では、しばしばミスリードを誘うものや不正確な表現があるのですが、院内感染についても間違った使い方をされる時があります。そもそも院内感染とは正しくはどういう現象なのでしょうか?