(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。
7月29日から、全国の新規感染者数が5日連続で1000人を超え、東京都では7月31日に463人と、はじめて400人を突破すると、翌8月1日には472人とさらに記録を更新している。
最初の感染拡大のピークだった4月には、全国の感染者数が約1万2000人だったのに、7月は約1万70000人と、ここへきて既に上回っている。
この事情を「検査件数が増えているから」と説明する自治体の首長もいるが、だとすれば、それまでは検査を逃れていた“隠れコロナ”が市中にもっといたはずで、実態を正確に把握していなかったことになる。むしろ、検査体制が整えば、現状はより深刻であることを示している。
「重症化しなければいい」というならブラジル大統領と同じ発想
この状況に、菅義偉官房長官は会見で「大事なのは重症者の数だ」と繰り返している。確かに、東京都ではピーク時に105人だった重症者が、8月1日には15人になっている。だからといって、感染者が増えていいのか。感染が拡がることによって、そこから重症者も増えることは、ちょっと考えればわかる。
重症化しなければいい、というのであれば、それは新型コロナウイルスも、普通の風邪のようなものだ、と言い放っているに等しい。ブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領といっしょだ。
ボルソナロ大統領は、当初から「新型コロナはただの風邪だ」と言い放って、経済活動の継続を優先していた。マスクもしていなかった。7月には本人が感染するも大統領公邸での自主隔離の末に、重症化することなくいまは回復している。